代表者ごあいさつ

　今、国を挙げて、働き方改革や健康経営の必要性が叫ばれ、国連が掲げるSDGｓでも 「働きがいと経済成長」、「すべての人に健康と福祉を」は重要な課題となっています。 しかし、企業の担当者からは、「働き方改革というけど、実際は長時間労働の削減、有給休暇 取得の奨励しか出来ていない」「労働生産性向上で、短時間で成果をだすことが、ストレスと なり、メンタル不調者が増えてしまった」というお声をうかがいます。

　私は、労働生産性を上げるためには３つのアプローチが有効と考えております。 まず、働く人の健康対策などの「個人アプローチ」 次に、居心地のよい執務環境づくりなどの「空間アプローチ」 そして、経営学や心理学の手法を取り入れた組織開発などの「組織アプローチ」です。 多くの日本企業では、個人アプローチは産業医、保健師などの産業保健スタッフ、空間アプ ローチは職場任せ、組織アプローチは人事部門など、それぞれがバラバラに動いています。 しかし、これでは結果に繋がりません。 個人のメンタルヘルスの不調は、組織や、人間関係に起因する場合が多く、結局は組織の 問題や周囲の環境と、切り離すことができないからです。

　私は、産業医として活動する中で、ある企業で、個人・空間・組織の３つを総合的に アプローチさせていただく機会をいただきました。 そこで、産業医、保健師、経営学者のプロ・ユニットが、人事、総務部門、現場で働く方々と 密接に繋がることで、社員のワーク・エンゲイジメントが高まり、労働生産性向上に寄与 することができたのです。 「企業の健康いきいきプロジェクト」は、この成功スキームを、より多くの企業に知っていた だきたいという思いから産まれました。「働き方改革の支援」と、「労働生産性の研究への寄与」 を、果たすべきミッションとして、ヒトと企業が笑顔になれる社会づくりに貢献していきたい と考えています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　代表理事　深井恭佑